坪木の教育論⑩:ブレイク・ポイントを経験して子供は成長する

私が「沸点の法則」と呼んでいる法則がある。我々は水が100度で沸騰することを知っている。だから、お湯が沸くまでの時間を待つことが出来る。ディズニーランドのアトラクションでは長蛇の列が並ぶ。中には90分待ち、120分待ちということも珍しくない。ところが、行列の所どころに立っている「ここから○○分」という表示が見事に正確なので、人は冷静に待つことが出来る。以前に私が実際に遭遇した出来事だが、とある田舎の駅で、乗っていた列車が信号機の故障によって臨時停車してしまった。アナウンスは「修理が済み次第発車しますので、しばらくお待ち下さい」を繰り返すばかり。次第に車内は殺伐とした雰囲気になり、中には乗務員に詰め寄る乗客まで現れた。結局、60分程度で再発車したのだが…人は、予想できる90分は待てるが、予想できない60分が待てないのだ。この、「予想される時間は待てるが、予想できない時間は待てないこと」を「沸点の法則」と呼ぶ。

この法則が人の成長にも当てはまる。努力の量と成果は比例グラフのようには連動しない。100mを毎日十本走れば、毎日記録が100分の1秒ずつ伸びることはない。頑張っても頑張っても伸びないという苦難の時期を過ごしたある日、突然、記録が伸び始める。勉強でも、テスト毎に学年順位を10番ずつ上げることは至難の業である。この「突然、成長が顕在化する瞬間」をブレイク・ポイントという。このブレイク・ポイントは誰にでも訪れるのだが、残念ながら、いつ訪れるかは誰にも分からない。実にやっかいなものである。すると、人は「いつ訪れるか分からないブレイク・ポイント」を待てずに諦めてしまう。諦めた人には永遠にブレイク・ポイントは訪れない。「継続は力なり」の本当の意味は、ここにある。