坪木の教育論⑬:幸組(さちぐみ)を目指す子供たちに
2018年04月18日
今、世の中は二極化に流れている。「勝ち組」と「負け組」という言い方が定着しているが、少し考えて欲しい。もし、トヨタやソニーを代表とする大企業が勝ち組ならば、99%の企業は負け組である。もし、ホリエモン氏や、かつてジェイコブ株の誤発注によって、数分間で20数億の利益を得て話題になったデイトレーダー君のように、若くして数百億の資産を手にした者が勝ち組ならば、やはり99%の人は負け組である。その意味では、どちらの区分けにせよ我々一般人は「負け組」なのかもしれない。しかし、あのデイトレーダー君の一日に密着したドキュメントを見て思ったことがある。その日の作業(仕事?)を終えた彼が、カメラに向かって「今日は4億5千万の利益がありました」と言って番組は終了した。しかし、私には彼が少しも幸せに見えなかった。至極憂鬱に過ごしているように感じた。
当たり前である。彼は、世のため人のために生きていないのだ。
彼よりも私の方が、毎日子供たちと必死で格闘している教師達の方が幸せに生きていると自信を持って断言する。我々は「勝ち組」にはなれないかもしれないが、「幸組」にはなれる。そう、勝ち組に対するのは「負け組」ではなく、「幸組」なのだ。子供たちには「数百億の資産は持てないけれど、こんな幸せな生き方がある」と、言葉ではなく行動で伝えたい。
人間は環境動物である。よく言われることだが、生まれたての赤ちゃんに善人も悪人もない。回りの環境によって善と悪は作られる。より良き環境を子供たちに提供することは、目先の悦楽を提供すること以上に重要な我々大人の責務である。
言うまでもないことだが、我々大人の存在そのものも子ども達の周辺環境の一つである。(了)