坪木の【新】教育論⑥:自立型個別指導の意味‐コーチとトレーナーの違い-
ただ、自立学習指導塾と名乗っていても、その中身は千差万別です。中には「当塾は生徒の自主性を重んじているので、その日の学習内容や宿題も生徒自身に決めさせています」という塾も存在します。それはそれで、理念としては崇高で正しい方法です。しかし、中学生・高校生はまだ未成熟です。そこまで自分を律することができる生徒は稀です。大半の生徒は、指導者の的確なサポートを必要としています。
今、教育界では指導者をコーチと呼び表すことが流行っています。コーチとは言うまでもなく馬車を意味します。乗客をどこへでも希望場所に連れていくことが出来るのが馬車です。馬車は、道路上はもちろん、道路のない草原でも走らせることができます。子どもたちの果てしない様々な夢の実現のためにコーチは存在します。実に理想的な存在です。
しかし、勉強の目的・塾の役割を考えた場合、指導者がコーチでいいのか、はなはだ疑問です。なぜなら、塾に通う生徒の目的地は千差万別ではなく同一だからです。それは「成績向上」であり、その先にある「志望校合格」です。塾ではピアノやバイオリン、絵画やサッカーを教えることはありませんし、それを希望する生徒もいません。
私は、塾の現場に必要なのはコーチではなくトレーナーだと考えています。
トレーナーとは言うまでもなくトレイン(列車)から派生した言葉です。列車に乗る人は「駅」という同じ目的地を目指します。そして鉄道会社は、駅に最も早く安全に到着するようにレールを敷きます。ただ、生徒は一般の乗客ではなく運転手を務めています。塾の指導者は、トレーナーとして目的地(駅)に早く安全に到着するためのレールと列車を用意し、生徒は自分の力で運転するのです。
「学習内容も宿題も生徒に決めさせる」というのは、レールも列車も自分で用意しなさいと言うのに等しいのです。それで手が付けられずにいる生徒に対して「君はやる気がないのですね」と評するのは酷というものです。
当塾は生徒ひとり一人に合った列車を用意します。それが「週間学習計画表」であり、「個別学習カリキュラム」等です。志望校という駅に向かって走らせる「あなただけの列車」です。そして、運転手であるあなたの隣でアクセルの踏み方、ブレーキのかけ方をサポートします。それが、私が考える自立型個別指導塾です。
高志アカデミーは、私の25年間におよぶ塾人としての経験から生み出された「理想の塾」です。生徒たちが成績向上を果たし、志望する高校・大学に合格するための全てを凝縮しました。
高志アカデミーの教育理念は「極限の努力ができる人をつくる」です。そして、そのための指導方針として「受験に強い生徒を育てる」を掲げています。私は今後も研鑽を続けていきます。自他ともに認める「理想の塾」を進化させるために。