坪木の教育論①:日本社会の変化
2015年01月06日
教育の意義、在り方が社会の変化と無縁ではいられないことは言うまでもない。今の日本が抱えている最も大きな問題は何かと問われれば、誰もが「少子高齢 化」「人口減少」と答えることだろう。2006年秋を境に日本の人口が減少に向かっている。人口が減少するということは市場規模が縮小するということだ。 そうした事態を迎えることが予測された30年前、日本は一つの解決策を採用した。それがグローバル化だ。日本の市場ルールを国際ルール(特にアメリカの ルール)に合わせることによって打開を図ろうとしたのだ。市場開放、規制緩和はその流れの一環として現在も続けられている。
ルールをアメリカに合わせると、社会そのものもアメリカ化していく。その社会を「2対8の法則社会」(パレートの法則社会)と呼ぶ。これは2割の国民が 国の資産の8割を所有する社会だ。例えば、人口が100人の国があったとする。そして国の総資産が100万円だとすると、上位2割の20人が8割の80万 円を所有するので、一人平均が4万円。残りの80人が残りの20万円を分け合うので、一人平均が2500円。上位2割と残り8割との間に16倍の格差が生 まれる。これが「格差社会」の正体だ。日本は今、そうした社会の構築に突き進んでいる。それまでの日本は、護送船団方式と呼ばれる方法で総中流社会を作っ てきた。国民の9割が中流と意識する社会だ。こうした社会では「落ちこぼれ」と呼ばれる1割にさえ入らなければ、まあまあの生活、まあまあの幸せが保証さ れていた。それを可能にしたのは言うまでもなく、高率累進課税と終身雇用・年功序列の制度だ。